一般質問 一色風子の出番終了

今議会は「西宮市の特別支援教育について」質問しました。


障害のあるお子さんについて学校や生活の場はどうあるべきなのか?今までもどうすることが一番良いのか考えていました。実体験から言うと西宮市で育った私は子どもの時は、知的障害、身体障害、聴覚障害の子たちと過ごす機会が保育所、幼稚園、小学校、中学校とありました。一緒に過ごしていた中で特別と感じることなく、共に生活していく中で必要なことを工夫しながら日々送っていたことを思い出します。また、大人になってからは勤めていた認可外の保育所で障害の有無に関係なく子どもたちが共に伸びやかに育つ姿を見てきていました。そんな中でも、幼稚園に入ることができなかった、小学校での受け入れに苦労したという話はよく耳にしてきていたので自分の実体験と、この乖離はどのようにして起こっているのか、また、子どもを中心に考えた際にどうすることが一番良いのかなど、どんな方向性で問題解決できるのだろうかを考えてきました。

そんな中でこの度の一般質問に至りました。
26分と限られた時間の中で,どこまで質問することができるか?もっと丁寧にわかりやすくお伝えできれば…などなど反省はありますが、伝えたいこと、形にしたいことは言い切ったかな?と思っています。

今回質問するにあたり、支援の必要なお子さんをお持ちの保護者の方々にお話を聴くことができました。学校にわが子のことを伝える時、できないことをたくさん伝えなければいけないんですよね…というお話、また、できたことをたくさん褒めてあげるんだというようなお話を聴かせていただいて、お母さんお父さんたちの優しい眼差しをひしひしと感じました。

今回、私の質問のキーワードとなる「インクルーシブ教育」の実現のために大切なことは「大人たちのコミュニケーション」だということも、お話を聴かせていただいた方に伝えていただいたことでした。

以下、今回の質問になります。

身体障害者手帳療育手帳を持つ0歳から17歳までの児童生徒数の障害福祉課が作成した統計を基にすると、平成24年1319人、25年1440人、26年1476人、27年1556人、28年1653人、29年1793人と手帳所持者数が障害の種別にもよりますが、横ばいもしくは毎年数が増えていることがわかります。数が顕著に増えている療育手帳を持つ児童生徒の数に関しては、これまで認知されていなかった発達障害が認知されるようになったことが数に反映されてきていると言われています。

もう一点、障害福祉課が作成した統計を参考に保育所等を卒園した後に行きたい学校、小学校を卒業した後に行きたい学校を聞いたものがあります。保育所などを卒園した後に行きたい学校として「小学校の通常学校に行きたい」「小学校の特別支援学級に行きたい」「特別支援学校小学部に行きたい」の3つにそれざれ、複数回答ですが「はい」「いいえ」「無回答・不明」のアンケートを取っており、この統計を見ると障害のある児童生徒が地域の学校の特別支援学級や通常学級への進学を希望するケースが特別支援学校よりも小中学校ともに多いことがわかりました。

年々増える支援の必要な児童生徒が特別支援学校ではない学校に行きたいという意向を持っていることがこの2つの資料で分かるかと思います。
西宮市と教育委員会が児童生徒や保護者の意向を尊重するのであれば、支援が必要な児童生徒の就学先の決定の際には、児童生徒の意向が阻まれることになる状況を解消し、地域の学校を安心して選ぶことができる環境整備、体制整備、情報提供、相互理解の場が必要と考えます。
以上のことから6点について質問しました。

1点目、現在、西宮市では各学校の校務分掌の中の一つになっている特別支援教育コーディネーター(以下コーディネーターと呼びます)が各校に必ず1人は配置されています。現在、コーディネーターが学級担任を併任しながら、校内の支援が必要な子どもたちの調整役をすることになるケースが多い状況にあります。このコーディネーターの業務は保護者の相談窓口、校内外を繋ぐネットワークつくりなど非常に重要な役目を果たすことになります。そのような理由から校内の支援体制で非常に大事な役目を果たす特別支援教育コーディネーターを専任化もしくはコーディネーター業務がしやすいようにサポートできる仕組みを作るべきと考えます。

 ◇教育委員会の見解◇

すべての学校園において指名されている特別支援教育コーディネーターは、特別支援教育に係る校内委員会の開催、保護者からの相談の窓口、関係機関との連携を行うなど、各学校園において適切な支援を行うための中心的な役割を果たす教員です。

教育委員会といたしましては、これまで国や県に対し専任の配置を要望してまいりました。今後も、強く要望していくと共に、特別支援教育コーディネーターの研修や関係機関との連携の強化などに取り組み、校内体制への支援を行ってまいります。」

2点目、校内の支援体制の中で必要になっている学校協力員というボランティアについてです。学校協力員配置要項では「様々な原因や背景から学校での適応が著しく困難な状態にある児童生徒や特別な教育的支援を必要とする児童生徒の対応については、複雑化、多様化しており、学校教育上の大きな課題となっている。そこで、校長の申し出を受け、学校協力員を配置し学校や児童生徒への支援体制の充実を図る」とあります。
学校協力員の募集案内にはボランティアの活動内容として「西宮市立の小学校、中学校において、障害などにより特に教育的配慮の必要な児童生徒への支援などの活動です。」と書かれています。
現在市内には28年度実績で延べ人数295名の学校協力員が活動していただいていますが、その全てが1時間7004時間以上は一律で2800円という報償費が出ているボランティアという身分です。学校協力員への支援の配置の希望、また専門性の向上と期待が高まる中ボランティアという身分では限界があると考えます。さらに専門的な支援の期待に応えるため、西宮養護学校で配置されているような介助員(介護福祉士などの資格を持っている嘱託職員)を必要な学校での配置をすべきと考えます。

 ◇教育委員会の見解◇



特別支援教育審議会(以下、審議会といいます)において、専門性のある支援体制の必要性などについて、調査・審議を進めているところです。議員ご指摘の、介助員の配置につきましては、審議会の審議を踏まえ検討してまいります。」


3点目、障害のある児童生徒に対し校内支援のツールとなっている個別の教育支援計画の活用について。
個別の教育支援計画とは児童生徒本人と保護者、学校が一人一人にあった支援について合理的配慮を考慮しながら計画を作っていくものです。通常では必要な際に見直しをその都度学校と保護者、本人でやっていくものです。この、個別の教育支援計画の利用について学校や保護者が仕組みを理解し、学校と保護者のコミュニケーションツールとして誰が見ても活用できるようになっているのでしょうか?様々な支援計画との違いを周知し利活用しやすいものにするべきと考えます。

 ◇教育委員会の見解◇

この個別の教育支援計画は、全ての子供が対象ではなく、特別支援学校、特別支援学級に在籍している子供と、通級による指導を受けている子供について、学校と保護者・本人が話し合い作成しております。保護者に対しては、就学相談に関するガイダンスや就学相談などで、個別の教育支援計画の活用方法などの説明をしております。また、活用しやすいように、平成28年度より様式を市で統一し、合理的配慮の提供の内容についても記載することとしております。」


4点目、前文で示した通り地域の学校を希望したいと思う児童生徒、保護者が増えている中、オープンスクールも限られており、進学する先の支援体制もわかりづらいと言われています。学校の見学などに足を運ぶことも勇気を持って行かなければいけない保護者や、就園就学相談の中身や流れがどうなっているのかわからないので身構えてしまう等の不安を持つ声を聞いています。就園就学相談の西宮市としての考え方を明らかにし、さらに就園就学までの流れや、就園就学相談の詳細を誰が見てもわかるようにホームページなどで公開し、保護者が安心して相談に行けるようにするべきではないかと思います。

 ◇教育委員会の見解◇


「平成27年度より、5月、6月に保護者向けに就学相談に関するガイダンスを行い、就学相談の考え方や、就学先決定までの流れなどを説明しており、保護者、本人の思いに寄り添った就学相談を行っております。就学相談の詳細につきましては、今後、さらにホームページなども活用して周知を図ってまいります。」


5点目、現在西宮市では西宮市特別支援教育審議会が開かれています。設置の目的は西宮教育におけるインクルーシブ教育システムの構築に向けた、特別支援教育推進のための施策について、必要な事項の調査及び審議を行う。とあり西宮市立学校園において、これまで推進してきた特別支援教育の課題を明らかにし、新しい方向性と推進の方針を定めるために調査審議を行うとあります。
この審議過程の中には基礎的環境整備なども審議事項に上がっています。
基礎的環境整備などは特に保護者や当事者となる児童生徒の意向もしっかりと審議会の場で知っていただきところではありますが、すでに支援を受けている保護者の中にはこれ以上の支援を求めにくい雰囲気などもあり学校に伝えにくいというようなことも聞いています。審議会の中では今後どのようにして保護者など当事者の声を聴き、審議会に反映させていくのでしょうか?声を聞いていくということは開かれた教育委員会であるために、非常に重要な部分であると考えます。現在の考えをお示しください。

 ◇教育委員会の見解◇


「審議会は、今後の西宮の特別支援教育のあり方を審議するため、特別支援教育に精通している学識経験者や医師、保護者代表、学校関係者から、専門的な意見を伺う場としております。当事者の声につきましては、教育委員会が、保護者などと話し合う中でご意見をお聞きしており、必要に応じて資料として審議会に提示してまいります。」

最後の質問は 幼稚園のあり方についてです。現在、仮称西宮市立幼稚園のあり方Ⅱを来年度早期には方向性を示すことができるように策定を進めているとのことです。この中で、西宮市の幼児教育の中には支援の必要な子どもへの考え方を明確に位置づけて公表すべきと思いますが、教育委員会として、どのように位置づけていくのか考えを聞かせてください。

 ◇教育委員会の見解◇


「この(仮称)西宮市立幼稚園のあり方Ⅱ(以下、あり方Ⅱといいます)においては、立幼稚園の果たすべき役割についての方向性を示していくものとして現在、策定作業を進めております。ご質問にありました、特別な支援の必要な子供への考え方につきましては、公立幼稚園のみならず、西宮の公私立幼稚園が共に取り組んでいくべき重要な課題であると認識しており、あり方Ⅱにおける柱の一つとして位置づけていきたいと考えております。」


以上6点の質疑応答でした。

次回、教育委員会の答えを受けての私の意見を掲載します。