6月議会最終日を迎えました

今定例会では2件について意見を申し述べました。

内容は以下の通りになります。

1点目、補正予算に関しては、質疑をしていたのでそれを受けての意見になっておりますので前回のブログをご参照くださいませ。

 

議案第8号令和5年度西宮市一般会計補正予算第3号について反対の立場で討論いたします。

補正予算には行政経営推進事務経費、内部経費適正化によるコスト削減支援業務に係る経費3千万円と合わせて債務負担行為4億円が計上されています。

この内容に関しましては先日の本会議場で質疑をさせていただきましたが、その後の総務常任委員会での審査では、その部分を除く修正案も出されました。賛成少数のため、修正案は通りませんでしたので今回は本補正予算に関しましては賛成せず、意見を申し上げたいと思います。

新規事業となる支援業務に関して多額の予算が必要になる事業規模にも関わらず所管事務報告もなく実施計画や新年度予算編成過程などでの査定などもされていない中、予算議会後の6月議会で補正予算という形で上程となったこと、今回の事業スケジュールについて、議決前からの関連の動きとしてプロポーザルによる公募の実施また本事業を進めるための検討材料となるサウンディング調査の一連の流れが非常に短い期間の中で進められ、丁寧さを欠いていることなど、総務常任委員会では多くの委員から本事業に関しての手順の悪さについて指摘され、その部分では多くの皆さんと考えを一致できたかと考えています。

また、委員会の中で局長がおっしゃっていたように経常経費について予算の編成の甘さがあったということですが、これは私も今回の新規事業が提案される過程を少し調査する中で内情が見えた部分であったとも思いました。

このことに関してはさらに今後調査を重ねていき、よりわかりやすいオープンな形での実施計画の策定や予算編成過程について新たな提案ができればと思っております。

また、この予算編成やそれに至る決算審査での事務事業評価など本来あるべき姿として機能させ経費削減に向けて、そもそも市として努力できる部分でもあり、市財政のひっ迫と言いながらも3千万円の固定費とさらに成功報酬として上限4億円を民間のコンサルティング会社に支払うことができる余裕がまだこの西宮市にはあるということについても納得のいくものではありません。

また、今後委託業務に関する市民生活への影響に関しては現段階では詳細に把握できていないと答弁がありました。不透明で明確に定まっていない中でコスト削減されていく部分に関しては慎重にならざるを得ないと考えます。公共調達という視点では市としての役割について、現在実施している福祉的な随意契約がありますが、さらに契約業務に関しては女性の就労や就労困難者、生活困窮者等の就労支援政策として市の独自の基準なども整理していただきたいということ、そして、今後財政難として厳しさが見えてくる中だからこそ地域の雇用を守るという観点も持ちながら地域内での経済循環を進めていただくよう要望して反対討論といたします。

 

 

2点目の請願については以下の内容になります。

「国に対し「再審法(刑事訴訟法の再審規定)の改正を求める意見書」の提出を求める請願」

請願趣旨
ひとたび確定した判決であっても、もし冤罪の恐れがあるならば、人道的観点から、あるいは基本的人権尊重の趣旨から、できる限り刑事司法制度の中で救済の道を開くことが必要です。
とりわけ、冤罪の可能性があるにもかかわらず、取返しのつかない死刑という極刑が確定してしまった場合には、確実にすみやかな再審の道が用意されなければなりません。
長年にわたり、冤罪を指摘されていた袴田事件では、本年3月、東京高等裁判所が再審、裁判のやり直しを認める決定をしました。決定では、有罪の根拠とされた証拠について「捜査機関が隠した可能性が極めて高い」とし〝捏造〟の疑いにまで言及しました。先立つ2014年に静岡地裁が再審開始を決定、袴田巌さんは釈放されました。判決は、国家機関が無実の個人を陥れ、45年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり、これ以上袴田さんの拘置を続けるのは耐え難いほど正義に反する状況にある、とまで指摘しています。
これを不服とした検察が東京高裁に抗告したために再審実現は今日まで9年もの無駄な時間を費やしてしまいました。再審開始への道が開けたのは、検察が特別抗告を断念したからにすぎません。今も〝死刑囚〟の汚名を着せられたままの袴田さんは、死刑執行におびえる長い月日を耐えるために自らの内なる世界を形成しています。
日本の再審制度は、「間違った裁判をやり直してほしい」という再審請求手続きと、実際にそれを受けておこなわれる再審公判手続きという二段階の制度の組み立てになっています。
しかし多くの場合、再審開始決定が出されても、検察がこれを認めず不服申立て(抗告)をして争うという対応をしています。そのため、再審にたどり着くまでに長い年月がかかり、その陰で冤罪に泣いた多くの無実の方々が存在しています。
だから、再審の条件をいたずらに厳格かつ形式的に解し、再審の道を閉ざすことがあってはならないと考えます。無辜の人を決して罰してならないとする再審制度の趣旨をくまず、機械的に再審を拒むとするならば、再審制度の存在意義は失われます。
現在の再審制度は刑事訴訟法「第4編 再審」のみで、極めて大ざっぱな規定です。
無辜の市民の訴えである再審の道をむつかしくしている点は次の2点です。
①捜査段階で集めた証拠が開示されないことです。全ての証拠を隠すことなく弁護団の開示請求に応じ、真実解明に役立てるべきです。②検察官の抗告権です。都合の悪い証拠を隠して置きながら、裁判所が再審開始決定を出しても従わず、即時抗告、特別抗告をおこない、裁判を長期化させ、場合によっては、存命中に再審開始に至ることができない事態にもなり、人道的観点からも許されません。
以上の趣旨をふまえ、国に対して下記の項目の意見書を採択してください。
請願事項
現行の「刑事訴訟法の再審規定」について次の2点に留意した改正を求める意見書を国
に提出すること。
1 再審における検察の手持ち証拠のすべての開示を制度化する。
2 再審開始決定に対する検察の「不服申し立て」の禁止を制度化する。 

 

以上の内容でした。

最終的に賛成少数で不採択となりましたが、以下、一色風子が述べた意見になります。

 

請願第1号国に対し再審法の改正を求める意見書の提出を求める請願について賛成の立場で意見を申し述べます。

他の議員から請願内容に関しては縷々述べていただいたところです。

私自身も身近にこの再審法の不備により長く裁判を経験した当事者、家族、その同僚、その友人たちを子どもながらに身近に接する機会がありました。

50年近く前この西宮市でも甲山事件という事件が起こり、たまたま、その日そこにいたということでひとりの西宮市で働く保育士が犯人として無実で逮捕され裁判にかけられ冤罪にもかかわらず長期の裁判を余儀なくされるということがありました。

犯罪者とされた当事者、弁護団や支援する仲間たちのある意味長い戦いの中で時間ばかりが過ぎていく、一喜一憂する周辺や当事者の姿を見ることがありました。

最終的に20数年という時間を経て無罪を勝ち取ることになりますが、弁護団の主任弁護人からも検察側が持っている証拠全ての開示がなされないことの問題、長期裁判の主原因たる検察官の上訴権に対して、禁止もしくは制限を法制度的に設けるべきである、と具体的な提言を行っておられます。

総務常任委員会の中で委員のおひとりが「刑事裁判が確定した場合、事実、法律問題問わず、その不当を主張してさらに争うことを認めることは裁判の機能を失わせ法的安定性を著しく害するということになります」と意見されておりましたが、法的安定性の下に人権侵害が起こっては本末転倒であり、そのようなことがないように請願者は本請願を提出されたと認識しております。

多くの市民が関わることになった裁判だったと記憶している甲山事件ですが、冤罪という明日は我が身、誰にでも起こりうる状況だということを考えると、社会問題として自分事として認識し、現行の刑事訴訟法の再審規定について市民が請願をとして声を上げていくことは非常に重要だと考えます。

そのような理由から本請願には賛成いたします。